主軸・清水武蔵を軸にいざ戦場へ
春の選抜甲子園10度出場の「春の国士」。
2016年秋に名将・永田昌弘監督が復帰し、現在は秋季都大会2連覇中となっている。
完全復活を遂げた国士舘は今秋、3連覇へ挑む。
2020年度11月号掲載
■「永田マジック」の極意とは?
国士舘は秋季都大会2連覇中だ。
2019年は10年ぶりに選抜出場、2020年春も選抜切符を手にしていたがコロナ禍で中止となり、その代替として夏の甲子園交流試合に参加した。
エース中西健登(3年)を軸にしたチームは、聖地で21世紀枠・磐城(福島)に4対3で勝利し激動の夏を終えた。
甲子園メンバーは3年生中心だったため、多くの1・2年生たちは学校のテレビで先輩たちの勇姿を見守った。
甲子園交流戦後に新チームはスタートした。
秋季都大会2連覇中の永田監督に「永田マジック」の極意を聞くと、微笑みながら「そんなものはないです」と即座に返答がきた。
「特に今年の新チームはスター選手がいないので、とにかく食らいついていくだけ。泥臭く、必死に食らいついていくことで可能性が広がっていく。それは練習から訓練するしかない」(永田監督)。
その答えは練習場にある。
■守備力は嘘をつかない
秋季都大会を控えた練習場には、緊張感がほとばしっていた。
この緊張感がチームを強くしていく。
選手が判断ミスをすると、永田監督の檄が飛ぶ。
「甘いよ!試合でミスして泣きたくなければ、今やらなければいけない。そのためには自分に厳しくしなければならない」。
叱咤激励は、愛情の裏返し。
日々の練習によって、選手たちはたくましくなっていく。
新チームで甲子園帯同者は清水武蔵(2年=内野手)、折田大和(2年=外野手)、林悠永(2年=内野手)の3人だが、プレーしたのは清水のみ。
経験不足を補うためには練習で判断力を磨き、実戦で試すしかない。
指揮官は「秋はそれぞれのチームが新たなスタートになる中で、投手力がカギ。
守りは嘘をつかない。
今年のチームは、少ないヒットで機動力を生かしながら得点を奪い、全員で守っていく『国士舘本来の野球』に近づくと思う」と都大会に照準を合わせる。
■攻守のキーマン清水武蔵
攻守でチームを牽引するのは清水だ。
鹿児島県出身で、レベルの高い場所でプレーするため国士舘の門を叩いた。
中学までのポジションは捕手だが、いまは遊撃手としてプレー、ユーティリティーぶりを発揮している。
新生国士舘は、清水を4番に据えて勝負に挑む。
新チームは前チームより、力がないとの評価を受けるが、清水はそれを否定する。
自身の考えを言語化できる清水は「このチームは力がないと思われているが、自分はそう思わない。力がないのではなく、やっていないだけ。チームの全員が同じ方向を向いて努力できれば、絶対に甲子園に行けるはず。自分たちの弱さや甘さを払拭して、甲子園で勝てるチームになりたい」と意思を貫く。
敵は己にあり。
国士舘は、秋3連覇に向けて、自分たちを見つめ直す。
戦いは、これからだ。