【文星芸大附】「 伝統復活」(2023年夏)

16年ぶり11回目の夏甲子園
決勝で作新学院にサヨナラ勝利

伝統校・文星芸大附が栃木大会決勝で作新学院にサヨナラ勝利、劇的な幕切れで勝利を収めて16年ぶり11回目の優勝を飾った。(取材・永島一顕)

■序盤から着実に得点しリード

文星芸大附が夏の甲子園行きの切符を手にした。決勝戦の相手は、昨秋、今春に敗れた宿敵・作新学院。かつて栃木の覇権を争った永遠のライバルだった。作新学院が10連覇を果たした中で、文星芸大附は15年間も甲子園から遠ざかった。チームは「打倒・作新」を掲げて練習に励んだ。準決勝では昨夏の覇者・国学院栃木を撃破し、決勝戦へ駒を進めた。決勝の大舞台で、文星芸大附は序盤から主導権を握った。初回、先頭の大塚和央が左前打で出塁しチャンスを広げると小林優太の中前適時打で先制のホームを踏む。2回には大塚の右前適時打、3回には山田匠、江田修の連続タイムリーで好機を生かし、序盤で4点をリードした。文星芸大附は6回に1失点したが、8回に犠飛で5点目を奪い5対1と優勢を保ち、最終回を迎えた。

■9回裏、劇的なサヨナラV弾

先発したエース澁谷優希の気迫の投球も勝利の要因の一つだった。今春の選抜ベスト8の作新学院の強力打線に怯むことなく、インコースを有効に使う攻めの投球で相手を翻弄。6回途中まで1失点の好投を見せた。リリーフの堀江も140キロ超のストレートを軸にアウトを重ねた。8回を終えて5対1。栃木の頂点まで、あと3アウト。ゲーム展開から優勝は間違いないと思われた。しかし、甘くはなかった。9回裏、作新学院に一挙4点を奪われて5対5に追いつかれ流れを失いかけた。嫌なムードを一瞬にして変えたのは、黒﨑翔太の“ひと振り”だった。9回裏1死から黒﨑がバットを一閃、力強く捕らえた打球は右翼席に飛び込むサヨナラ弾となり、16年ぶりとなる夏の栄冠を手に入れた。OB指揮官の高根澤力監督は「選手たちが底力をみせてくれた」と男泣き。指揮官と選手たちの執念が王座奪還につながった。

 

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